排水設備の機器、配管としては、排水タンク(汚水タンク、雑排水タンク、湧水タンク)、排水ポンプ(汚物ポンプ、雑排水ポンプ、湧水ポンプ)、屋内配管として、汚水配管、雑排水管、通気管)、屋外配管として屋外排水管、排水桝(汚水桝、雑排水桝、雨水桝)があり、その他に弁類、支持金物などがある。また、これらの外に厨房排水に用いられるグリース阻集器や病院、研究所などに設置されている各種阻集器類や排水トラップなどがあり、排水系統にも種々の機材が使用されている。
排水タンクはほとんどが建物の最下階の床下ピットを利用して設置されているため、鉄筋コンクリート造であり、腐食などの心配はないが、コンクリートに亀裂が入ると湧水が侵入したり、汚水が流出したりする危険もある。特に排水タンクと受水タンクが隣り合っている地下式のタンクへの汚染に対する注意、対策が必要である。
排水タンクも受水タンクと同じように「ビル管法」で3000u以上の特定建築物では定期的な清掃が義務付けられているが、清掃時の作業上支障のあるタンクが多いといわれている。次のような場合は改造を検討することが望ましい。
(1)マンホールが腐食していて危険である。
(2)マンホールの口径が450Φ以下で掃除道具の出し入れや、人の出入りに困難である600Φ以上が望ましい)。
(3)タンクが大きいにもかかわらず、マンホールが1ヶ所で清掃時の換気が困難である(酸欠事故防止のためにも2ヶ所以上設置が望ましい)。
(4)タンクの通気管がないか、または屋内に開放されている場合(汚水タンクなどの通気は外気に開放する)
(5)マンホールから出入りのためのタラップがないか、あっても腐食している(ステンレス製、鋳鉄製、樹脂被覆を施したタラップを取り付ける)。
(6)マンホール、その他から臭気が漏れる(マンホールは防臭型にするか、マンホールの溝にパッキンかグリースなどを充填して防臭措置をする)。
排水ポンプは一般に水中型が設置されている場合が多く、日常の保守管理が困難なため保守を怠ると寿命が短くなる外、電動機の絶縁性も悪くなりがちであり、ある日突然故障ということも考えられるのでリフォーム時の対象機器にする必要がある。その場合引揚げに容易なガイドレール付きのポンプが便利である。また点検用のマンホールの位置、大きさや周囲の空間についても充分検討し、保守点検に便利な空間を確保することが望ましい。
排水管は老朽化の症状として、漏れ、詰まり、排水不良、逆流などの現象として顕在化してくる。リフォームの時期を迎えた建物には、一般的に汚水・雑排水用として排水用鋳鉄管、器具排水管(器具と排水横枝管を接続する管)として大便器、小便器、洗面器などに排水用鉛管が、また流し台などの排水管として亜鉛鍍鋼管が、使用されている外、一部に硬質塩化ビニル管が使用されている。鋳鉄管は耐食性が高く、リフォーム工事の際にも手を付けずに済む場合が多い。ただし厨房排水などの油脂類を含んだ排水が流入している場合は配管内の油脂により詰まりの状態を調べる必要がある。器具排水管として用いられている排水鉛管は、特に小便器の場合はスケール付着が著しく、管径を小さくしているので配管更新の対象となる場合が多い。また大便器に接続している排水鉛管も腐食している場合があるので注意する必要がある。
雑排水および通気管として多く用いられている亜鉛鍍鋼管(白ガス管)も内面及び外面の腐食が著しい例が多い。特に厨房排水の管材として用いている場合は油脂の付着や腐食など可成り傷んでいる場合が多い。
屋外排水系統では、土中埋設の亜鉛鍍鋼管の内外面の腐食、コンクリート管の沈下、折損や薬品排水による管や桝の損傷などが発生している場合もある。このような場合は原因を究明してリフォーム時に適切な措置を施しておくことが、事故防止のために重要である。
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